論理的思考力を鍛える33の思考実験|7割の人は、何も考えずに生きている?

 

大勢を救うために1人を犠牲にするか? 1人を助けるために大勢を犠牲にするか? それを考えるのが「思考実験」です。

 

思考ゲームで大事なことは、「答え」ではありません。

答えは導けないものです。

それよりも、「考え続ける」こと。「考える力」を鍛えること。

それが、いざというときに、自分の能力を最大限に発揮する力になる。

なんと、何も考えないで生きている人は7割にも及ぶそうです。

考えない人は、いざというときに生き延びることができない。

だから、「考え続ける」ことが大事だそうです。

この本を読んで、「考えること」についての考えが変わりました。

 

論理的思考力を鍛える33の思考実験
by 北村良子

暴走トロッコと作業員~倫理観を揺さぶる思考実験

「暴走トロッコと作業員」とは、イギリスの倫理学者フィリッパ・フットという人が、1967年に提示した、有名な思考実験だそうです。

内容は、次のようなもの。

 

暴走トロッコが走ってきました。

線路の先には5人の作業員がいます。

5人はトロッコに気づかず、このままだと確実に5人全員が死亡する状況だとします。

自分は運良く、線路の切り替えスイッチの近くにいます。

スイッチを切り替えれば、トロッコの進行方向を変えられます。

ただし、切り替えようとした線路の先には、別の作業員が1人いました。

切り替えなければ5人が死ぬ。切り替えれば、1人が死ぬ。

さて、スイッチを切り替えますか? 切り替えませんか?

 

5人を助けるために、1人を犠牲にするか。

1人を殺さないために、5人を見殺しにするか。

 

スイッチを切り替えなければ、仕方がなかった運命とも言える。

スイッチを切り替えれば、意図的に人を殺してしまう状況になる。

 

暴走トロッコではなく、臓器移植だと考えればどうでしょうか。

5人を救うために、健康な1人を犠牲にすることはできるのか。

人数が問題なのか、意図的かどうかが問題なのか。

 

このような問題を考えることが、思考実験です。

タイムマシンで過去を変えたら、そのあとの現実はどうなるの?

タイムマシンの問題は、誰もが子どもの頃、考えたのではないでしょうか?

私も似たようなことを考えて、悩みこんだ記憶があります。

その話は、次のようなものです。

 

10歳の頃、当時5歳だった妹を病気で亡くしました。

30歳になったとき、妹が亡くなった病気の特効薬が見つかります。

その薬を持ってタイムマシンに乗り、当時5歳の妹を救うことに成功しました。

では、10歳~30歳までの間、妹はどこにいたことになるのでしょう?

 

子どもの頃に、このことで悩んだ結果、私は、「タイムマシンはないほうがいい」という結論を出しました。

子どもの自分には、とても理解できない状況だったからです。

実際は、どうなのでしょうね?

生きるための答え

ある男が、盗みを働き、死刑を宣告されました。

「生きるために必死だったのです。死刑はひどすぎます。」

「死刑は変えられない。ただし、死に方は選んでよい。火あぶりでも斬首でも、好きな方法を自分で決めなさい」

男は、必死に考えました。

病死、事故死…。どの方法なら、生き延びる可能性があるか。

そして、1つの結論にたどり着き、その答えを告げました。

結果、男は釈放されました。

 

さて、どんな方法を選んだのでしょう?

その答えとは…

 

「老衰」

 

老衰するためには、病死でも餓死でもダメなのです。

幽閉とは違い、病気にならないよう、餓死しないよう、健康にも食べ物にも注意しなければならない。

そんなことに手間暇をかけるくらいなら、釈放したほうよい。

ということで、釈放されたという話です。

とんちクイズのようですね。

考えてみれば、子どもの頃は、なぞなぞやクイズが大好きでした。

わからない答えを必死に考えることが、脳の発達に影響してきたのでしょうか。

なぞなぞやクイズって、意義があったんですね。

思考実験に答えはない

この本では、以上のような、頭を使って必死で考えさせられる問題が33問、記載されています。

一人で考えるよりも、数人で考えたほうが楽しそうです。

正直、33回もこのようなことを考えていると、「これが一体、何になるんだ?」という疑問もわいてきます。

暴走トロッコの話のように、答えの出ない問題ばかりです。

どっちが良いのか悪いのか、考えても考えてもサッパリわからない。

けれども、それでいいのだそうです。

大事なことは、「答え」を出すことではない。

ならば、なんだというのでしょう?

「考える力」が「生きる力」になる

33問、ひたすら、答えの出ないような問題を考え続ける。

さすがに疲れてきて、読む必要はなかったかもなぁと感じていました。

そうしたら、最後の最後に、考える意義が書かれていて、深い納得を得ました。

私たちは普段、考えることを避けています。

何も考えたくない、なるようになるしかない、そんな気持ちに無意識のうちに流されている。

だけど、子どもの頃は、あらゆることを必死に考えていた気がします。

子どもがキラキラしているのは、そのせいでしょうか。

考える力が衰えてきていることは実感します。

ただ、それだけではなく、「考える力」は、いざというときの「生きる力」にもなるというのです。

 

イギリスの心理学者ジョン・リーチの研究によると、人は大惨事に見舞われたとき、呆然としてしまうか、冷静に行動できるか、取り乱してしまうかの3つのグループに分けられ、最も多いのが呆然としてしまうグループ(7割強)なのです。

 

「考える力」がないと、いざというときに呆然としてしまう。

日頃から、脳を使っていないからです。

事故にあったときに子どものほうが強いのも、もしかしたら「考える力」と関係があるかもしれませんね。

 

具体的な事故の例が載っていました。

1977年に、2機のボーイング747型機が衝突するという大惨事が起きたそうです。

死者583名。助かった人は、わずか61人。

 

この事故の複数の生存者は、普段からもしこうなったらどうしようかという深い思考を繰り返しており、それがいざという時の素早い行動につながったという説があります。

 

つねに最悪の事態を考えて行動していた人。

飛行機に乗るときには、必ず避難経路を確認していた人。

そういう人が生き残ったのではないか。

実際に、生存者の中には、そのような証言をする人もいたそうです。

どこまで関係性があるのかは不明なので、「そういう説もある」と書かれていますが、とても興味深い話だと思いました。

いざというときの行動には、日頃からの習慣がよく現れます。

例えば、映画館でも必ず、映画の上映前に、非常口の場所などが示されたりしますよね。

いつも、適当に聞き流していましたが、意識して考えることが大事なのかもしれない…という気分になってきました。

「考える力」が「生きる力」になるのです。

脳は、筋肉と同じなので、使わなければ衰えてしまいます。

衰えているから、呆然と立ちつくすことしかできないのではないか。

考えるトレーニングをしたほうがいいのではないかと思えてきました。

成功するビジネスマンは、ビジネスについて必死に考える人だという話も聞きます。

普段、どれだけ考えているのか。

「考えすぎ」という意味の考えではなく。脳を鍛えるための「考え」。

最後まで読んでみて、あぁなるほど!と思わされました。

 

考えるという人にしかできない能力は使うことで鍛えられ、時にビジネスの成功を導いてくれたり、危険を回避できたりとあらゆる行動に直結します。
普段からの思考の準備が、冷静に行動できるグループとしての行動を起こさせるのではないでしょうか。

 

ということで。

 

イライラがくれたもの。
考える力を鍛えるための、思考を繰り返していくこと。

脳は、考えることで活性化する。

「考える力」が「生きる力」になる。

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